目指せさらなる高み‼︎さら高の麻雀レポート

さらなる高みを目指す女子大生の求道の轍。

さらなる高みVSヤンキー

先日の記事で自己紹介と称して過去のヤンキーエピソードを書いたが、思いのほか好評だったようで、「面白かった」 とたくさんの人に言っていただけた。私の身代わりとなった田中も浮かばれるだろう。

 

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前も書いたが、 私はやたら変人に絡まれる。

 


高校の遠足で登山をした帰り、上も下も鮮やかな緑色のジャージを着て神戸の街を歩いていると5人組くらいのヤンキーに絡まれた。

 

ヤ「何調子乗ってるねん」


といきなり凄まれ、私はもうパニックだ。

誰がこんなダサい恰好で調子に乗ってるというのか。なにしろ胸の辺りとズボンの裾には名字が印字されている真緑のジャージだ。

 

 

思わず
「いや、調子乗ってへん」
と答えてしまった。

 

ちょっと口調が強かったか?と思ったが、意外にもヤンキーは「 確かに」と納得してくれ、「ごめん、(行って)ええで!」 とすぐ解放してくれた。

 


それはともかく年の瀬だ。
この寒空を歩いているとどうしても昔のことを思い出してしまう。


今回は少しだけ自分語りに付き合ってほしい。

 


私の高校の頃の同級生にヨッシーという者がいた。


ヨッシーとは小学校の頃よく遊んでいたのだが、 中学校に入って彼が悪い連中とつるみ始めてから徐々に疎遠になっていった。

 

とはいえ、高校も同じ学校に進学し、仲が良いとは言えないにしろ小→中→高と長い付き合いなので、 たまに話すかな?くらいの関係が続いていた。

 

しかし、ヨッシーは少しずつ学校に来る頻度が少なくなり、 2年生の秋ごろにはほとんど不登校みたいな感じになっていた。

 

そんな秋のある日。
おそらく体育大会の準備をしていたのだと思うが、 授業時間中に私はグラウンドの隅っこのフェンス際で体育大会で使用する備品の修繕をしていた。

 

フェンスの向こうには細いあぜ道があるのだが、 1台の原付がこちらに向かってくるのが見えた。原付は私の前で停車し、運転手がヘルメットを脱ぎながら近づいてきた。

 

そう、彼こそがヨッシーだった。
超久しぶりに見たヨッシーは肩で風を切りながらこちらに近付いてきて、

 

ヨ「おう、何してるん?」

と巻き舌で話しかけてきた。

 

ワイ「体育大会の準備してるんやけど、ヨッシーこそ何してるん? 」

 

ヨ「ああ、これ見てぇや」

 

見るとヨッシーが履いているのはボロボロのナイキの靴。

 

ヨ「ガムテープない?」

 

いや、普通高校生がガムテープなんか携帯してないだろうよと思ったが、備品の修繕をしていたためたまたま手元に紅白のテープがあった。

 

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私はヨッシーにテープを渡した。

ヨッシーは靴をテープでグルグル巻きにして応急処置を行う。真っ赤でクソダサかったが、そこは触れないことにした。

 

ヨ「じゃあテープ返すわ」

 

ヨッシーはそう言うとつま先にテープの輪の部分を引っ掛けて靴飛ばしの容量で思いっきり足を蹴り上げる。

 

普通に返せばいいのにほんとアホだなと思った。

 

さらにアホなのが、テープだけ飛ばせばいいのに靴がすっぽ抜けて一緒に飛んでいた。真っ赤なテープでコーティングされたダサい靴が宙を舞う。

 

その時、突風が吹いた。

 

ヨッシーの靴はテープの留め方が甘かったのか空中でバラバラに分解され、その破片は田んぼの真ん中に落下していった。(テープは私の手元に返ってきた)

 

ヨッシーはしばらく田んぼに落ちた靴を茫然と見つめていたが、突如何事もなかったように

 

「よし!ほな帰るわ!」

 

と原付にまたがって去っていった。

 

何一つ「よし」ではない。なんならゴミを田んぼに捨てられた農家さんはいい迷惑だ。片足が裸足のまま去っていくヨッシーの後ろ姿はどことなく寂しそうだった。

 

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それにしても、懐かしい思い出だ。
私は今「ふふ、」と過去を懐かしみながらイオンのフードコートにいる。

 

イオンといえば、"あのとき"もイオンにいたっけ。年月が経っても強烈な記憶はなかなか消えないものだ。


あれは高校2年の冬の定期テストの時期だ。

私は仲の良いサッカー部の滝沢とイオンのフードコートにいた。テスト期間なので午前で学校が終わっていたのだ。

 

フードコートは平日なのにそこそこ混雑していた。その中に一際目立つヤンキーの女子中学生(ヤン女)の2人組がいた。

 

わたしと滝沢はうどんのトレーを運びながら「トラブルに巻き込まれたら嫌だから離れて座ろう」とヤン女から10mくらい離れたところに座った。

 

「あいつら見るからにヤンキーやなw」と草を生やしていると、わたしの後頭部に何かが当たった。気のせいかなと思ってうどんを食べ続けていたが、何度も当たるので流石に何だろうと振り返った。

 

ポテトだ。

 

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嘘だろ、まさか、そんなことが…!

 

そう、ヤン女がこちらにポテトを投げていたのだ。私は彼女たちに背を向ける位置にいたので後頭部にポテトが当たる当たる。

 

外れたポテトがうどんにも何本か着水した。

しかもゲリラポテト豪雨はなかなかやまない。奴ら、恐ろしいことにLサイズのポテトを投げていたのだ。

 

もう私の後頭部は塩と油でギトギトである。

 

着弾したポテトが足元に溜まっていくので私たちがお行儀が悪いみたいになるのも悔しかった。

 

とはいえ、我々は高校生で相手は中学生。

事を荒立てず無心でうどんを食べ続けた。

気が付いたらポテト豪雨もやみ、振り返るとヤン女もいなくなっていた。ホッと安堵の息をつく。

 

その瞬間、次の事件が起きた。

 

警察「すいません、少しいいかな?」

 

公僕がどこからともなく現れたのだ。

 

警察「実はさっきそこに女の子がいたと思うんだけど、通報を受けてきました。君たちに絡まれて困っていると」

 

冗談はよしこさんである。私たちは善良な一般市民代表である。私は足元に散らかったポテトと塩と油でギトギトの後頭部、そしてうどんに浮いているポテトを公僕に見せた。

 

警察「うーん、、、いや、私も通報した子の風貌を見てきっと君たちじゃなくて向こうが絡んでるんだろうなって思ったんだ。でも場を収めるために今日は帰ってくれないかな?」

 

正直なんでやねんと思ったが公僕にも業務があるのだ。ここで取り調べしたり書類を書いたりする手間を惜しんだのだろう。高校生ながら事情を察した私は「わかりました」と答え、急いでうどんを平らげると帰るために駐輪場に向かった。

 

するとヤン女がそこにいた。

 

ヤン女「おい!お前らウチらのことなめとるやろ」

 

ああ、またか。なぜヤンキーは常に自分が舐められていると思ってしまうのだろう。そんな風に感じている君たちの弱い心をナメているよといいたかったが大人なので、

 

ワイ「ナメてません」

 

と言った。しかし彼女たちもボルテージが上がっているようで食い下がってくる。

 

ヤン女「いやナメてるやろ。お前らな、その制服○○高やろ。ウチらそこに先輩おるからおちょくっとったらシバいてもらうぞ」

 

まるでヤンキー漫画みたいな絡まれ方に思わず笑ってしまった。

 

ヤン女「なにわろてるねん!お前らほんま知らんで」

 

滝沢「わかったわかったwもう正味だるいから好きにせえや」

 

滝沢はヤンを完全に無視して自転車に乗る。私もそれに追随した。

 

ワイ「ほな、また…w」

 

軽く煽って立ち去る。後ろでヤン女が「覚えとけよ」みたいなことを言っていたのを笑いながら滝沢の家に言ってマリオカートスマブラを楽しんだ。テスト勉強はしていない。

 

翌朝、いつものように滝沢と学校に向かう。うちの学校はチャリ通が基本のくせに丘の上にあるというバカみたいな立地をしている。この日も最後の坂を登り切ったとき、とんでもないものが目に飛び込んできた。

 

数台のバイクと柄の悪そうな連中。ヤンキーがたまっていること自体は珍しくもないが、その輪の中に昨日のヤン女がいた。

 

やばい!あいつら本当に我々をシバきにきたのだ。滝沢も流石に青ざめている。学校に行くにはヤンキーゾーンを突っ切る以外に道はなかった。

 

私と滝沢は顔を伏せながら自転車を進める。が、

 

ヤン女「止まれや!」

 

すぐバレた。

 

ヤン女「ちょっとこいや」

 

ワイ「はい…」

 

ヤン女「ウチらのこと覚えてるよな」

 

ワイ「いやー…?w」

 

ヤン女「昨日会ったばっかりやろ!!」

 

ワイ「はい、覚えてます…」

 

まさか即日シバきにくるとは予想外だった。ヤンキーが物事をすぐ行動に移せるようなフットワークの軽い生物とは思っていなかったのだ?

 

ヤン女「お前ら知らんでw今日ほんまにド突き回したるわ」

 

ああ、今日もテストなのになあ…と思ったがそれどころではなさそうだ。まあどうせ勉強してないからテストはいいのだが。

 

ヤン女「先輩!こいつらが言うてた奴ですわ!シバいたってください!」

 

先輩「おう」

 

集団の中心からプーマのジャージを着た"先輩"が顔を出した。ドフラミンゴみたいなイカついサングラスをかけたその先輩はなんとヨッシーだった。

 

ヨ「おう、おはよう!何してるん?」

 

ヨッシーはアホなので「シバく奴=私たち」の等式をまだ理解しておらず、普通に挨拶してきた。

 

ワイ「ヨッシーは何してるん?」

 

ヨ「こいつら中学の後輩やねんけどな、ムカつく奴おるっていうからシバきにきたねん」

 

そう言いながら肩をグルグルさせるヨッシー。やる気は満々だが、やはりアホのようだ。

 

ワイ「ヨッシー、言いにくいんやけどな、シバかれるんワイやわ」

 

ヨッシー「?」

 

刹那、ヨッシーの脳内パルスが全宇宙を駆け巡った。実は私と滝沢は単純な戦闘能力が高めの人間なのだ。私は柔道部に所属していて全国大会出場の経験があるし、滝沢は中学の頃結構ヤンチャをしており、今でもサッカーで鍛えた体は並の高校生よりはガッシリしていた。

 

そんな我々と戦闘に突入することでどのような結果を招くか、ヨッシーはアホなりに結論を出した。

 

ヨ「ふーん……まあ暴力が全てじゃないからなあ」

 

ヤン女「!?!?!?」

 

ヨ「話し合いで解決せなあかんわこういうのは。あ、2人はもう行って!あとはこっちで話しとくから!」

 

ヤン女「ちょっと待ってくださいよヨッシーさん!こいつらマジでウチらナメてますよ!」

 

ヨ「やかましいねん!なんでも手出したらええんと違う言うてるやろ!」

 

ワイ「ヨッシー、ワイらはもう行ってええ?」

 

ヨ「ええよええよ!はよいって!」

 

ヨッシーとヤン女が言い争っているのを尻目にわたしと滝沢はその場を立ち去る。去り際に

 

ワイ「ほな、また…w」

 

と煽りを入れていくとヤン女は烈火の如く叫んでいた。この日のテストには当然ヨッシーは来ておらず、それが原因かはわからないがほどなくしてヨッシーは高校を退学した。

 

今回の記事からも分かるようにさらなる高みを目指す道のりは平坦ではない。私は高校の頃、毎日上り坂をチャリで頑張って登っていたのだ。