第5話 地獄の誘い さらば麻雀
やほー、さら高だよー。
前回↓
https://saranarutakami.hatenablog.com/entry/2019/08/08/000104
実力も足りない。点数計算もできない。
そんなお手本のような初心者の僕は気がつけば卓についていた。
実は初フリーのことはあまり覚えていない。
とにかく手が震えて恥ずかしかったこと、満貫未満の手は点数計算ができないので和了できなかったことだけが記憶に残っている。
今思えば「点数計算ができません」の一言を添えれば済んだ話なのだが、下手くそなりにプライドがあり、恥ずかしかったので黙っていた。
2飜40符とかを和了してアワアワするのも恥ずかしかったので結果的に一人で満貫縛りを行う羽目になったのである。
いや。そうならないために先輩ときたんじゃないかと思い、先輩の方を見ると彼も見事に緊張していた。
なぜ突然フリーに行きたがったのか。さっきまでのハイテンションが嘘のようにびっくりするくらい大人しくなっていた。
内容はとにかく覚えていないがラスだけは引かないように願っていた。4巡目くらいで門前混一色を聴牌し(確実に和了したいという思いからダマ選択)、先輩から和了して多分2着とかで終了した。
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去り際に岡本プロは「ゆっくり慣れたらいいけんまた来てね!」的な事を言っていた。
僕はというとそんな言葉すら頭に残らないほど疲弊していた。
セットとは比べ物にならない打牌速度。
祝儀ルールによるリーチへの恐怖。
単なるタンヤオ仕掛けでも僕らの身内がやるのとフリーの人達がやるのではプレッシャーが違っていた。
この時、僕の心はほぼ折れていたが「いつか特上卓に上がったらリベンジしよう…」と密かに闘志を燃やしていた。
ちなみに前回書き忘れていたが、17時締切のレポートは天鳳を直前までプレイしていたせいで出し忘れたので単位を落とした。
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さて、フリーではけちょんけちょんにされたが天鳳はというとしれっと四段になっていた。
とはいえRが1800を越えるか越えないかくらい。ラスを引くと1800を割ってしまうので特上卓チャオ圏内だ。
この時、段位戦約700戦。
三段坂でくすぶったことのある人ならわかると思うが、このあたりになるとトップを取ってもRが増えない。
なので、特上卓で連続で勝たなければすぐチャオるのである。
僕も例に漏れず、ポイントはじわじわ増えているがR不足に悩まされていた。しかしまあ、四段のポイントが1400/1600になる頃にはRも1850くらいにはなっていたので幾分かチャオの恐怖からは解放されていた。
そんな折、いつも一緒に打っている後輩の一人が僕を差し置いて五段に昇段した。僕も昇段目前だったのですごく悔しかった。
だが、タイミング良く明日からゴールデンウィーク。
連休に突入すれば天鳳やり放題なので五段の昇段も時間の問題だろう。この時、僕のポイントは1570/1600。つまりあと一回連帯すれば五段というところまで来ていた。
ゴールデンウィーク初日。緊張しながらも段位戦を予約。思うように手が入らず、連帯を取りたいという一心で無謀な押しも祟ってラスを引いた。昇段戦でのラスは本当に心にくる。
正直かなり萎えたが、トップ二回取れば昇段である。
時間はたっぷりある。僕はもう一度予約を押した。
ゴールデンウィーク2戦目。
今回は先の一戦と違って結構手が入る。しかし、どういうわけか先手を取られリーチを打たれる展開が続いた。好形・高打点のイーシャンテンのため、プッシュをする。すると見事に一発でカンチャンに放銃してしまった。
そのままズルズルと手が入らずラス。
ここで痛恨の2連ラスを引いてしまった。
しかし、こんなところで終わるわけにはいかない。
連続で予約を押した。
先制リーチ!
…追っかけリーチを食らう。
そんな、まさかはないよな?
僕の心は悲鳴をあげていた。
追っかけリーチの一発で持ってきたのは…
ドラだった。
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どれだけの時間、天鳳を打っただろう。
もしかしたらそれは悪い夢だったのかもしれない。
現実の僕はゴールデンウィーク中に五段に昇段して、鳳凰卓最大の壁といわれる六段坂に向けて新たな道を歩み始めているはずだ。
カーテンの隙間から見えた外の景色は綺麗な夕暮れだった。
僕は昇段戦を打つため、天鳳を立ち上げる。
670/1600
目が霞む。
直視できない数字がそこにはあった。
何が、何をしていたんだ俺は…?
朧げだった記憶が少しずつハッキリとしていった。
そうだ。
僕はラスを引いたんだ。
麻雀史上最悪の10連ラスを。
ポイントはもちろん、Rは見れたもんじゃなかった。
そういえば4連ラスを引いたあたりから上級卓を打っていた気がする。
そう呟いたかどうかは定かではない。
しかし、僕はこの日天鳳のIDを削除し、麻雀を引退したのだった。
今回はここまで!
続きはまた次回。